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永尾 太郎 (名古屋大学)

Spectral statistics of sample covariance matrices

標本共分散行列は, 標本ベクトルの要素 が互いに独立にガウス分布しているとき, ランダム行列理論におけるカイラルガウス型 直交アンサンブル (chGOE) と同じ確率分布関数 をもつ. また, chGOE と類似の行列アンサンブル として, 複素数の要素をもつカイラルガウス型 ユニタリアンサンブル (chGUE) を考えることが できる. この講演では, Dyson によって提案された 行列のブラウン運動の方法によって chGOE から chGUE への遷移を考え, 遷移中における 固有値密度の評価を与える. 大域的な固有値 密度は, 行列の次元が大きい極限において 普遍的な漸近形をもち, それは遷移中に おいて変化しない. しかし, 固有値分布の 端領域を拡大して得られるスケールされた 固有値密度の漸近形は遷移中において変化し, その遷移パラメータへの依存性を解析的に 求めることができる.